毒の博物館
私たちのまわりにある様々な「毒」と、「毒」をもった生物を紹介します。生物の毒(動物·植物·菌類)の目的の多くは明確で、主に「攻めるため」と「身を守るため」です。狩り(捕食)のために使用する「毒」、自分を守るために存在する「毒」、様々な有毒生物の「毒」の働きなどを、拡大模型、剥製などの標本を使って説明します。また、鉱物など無生物に含まれる「自然界の毒」や、人間が作り出した毒にも迫ります。
攻めるための毒・守るための毒
圧巻の拡大模型!!
「攻めるための毒」「守るための毒」を圧巻の拡大模型で見てみよう。
ハブは実物の約30倍、オオスズメバチは約40倍、
イラガは約100倍、セイヨウイラクサは約70倍!(実物比)
“毒”をもつ生物に大迫力で迫ります。
※写真は東京会場の様子
植物の毒
知ってる!? 日本の3大有毒植物
オクトリカブト
ドクウツギ
ドクゼリ
“毒虫”
人を咬んだり刺したりすることで、皮膚のかゆみやかぶれ、痛みなどを引き起こす生き物を総称して、「毒虫(どくむし)」とよぶことがある。
さまざまな“毒虫”
①ウシアブ ②マメハンミョウ ③アオバアリガタハネカクシ ④トビズムカデ ⑤ヒトスジシマカ
⑥シュルツェマダニ ⑦ネコノミ ⑧キョクトウサソリの一種 ⑨ ヨコヅナサシガメ
有毒爬虫類・両生類
菌類の毒
地球上に存在するきのこ(推定で10万種以上いるとされる)のうち、大半は食毒不明!
毒きのこ、いろいろ
痙攣、腹痛・下痢、幻覚症状、細胞破壊…様々な中毒症状を引き起こす。
ドクツルタケ
カエンタケ
オオワライタケ
鉱物に由来する毒
無生物の世界にも毒は存在する。鉱物の中に存在する毒はその代表的なものだ。鉱石の中から目的の鉱物を取り出そうとした結果、副産物が水を汚染する例もあるし、毒性のある物質を利用する目的で抽出する場合もある。利用を意図した段階ではわからなくても、後で毒性が判明する場合もある。
かつては暗殺に用いられたことも…!?
人間が作った毒
人間が作り出した毒もある。シラミやマラリアの駆除のために使用されたDDT や、工業的に利用されたPCB、プラスチック製品の焼却などによって生じるダイオキシンなどの物質は、POPs(Persistent Organic Pollutants)と総称される難分解性の物質だ。これらの多くは発がん性を始めとする毒性をもち、自然界では分解されない数mm程度のプラスチックの小さな粒(マイクロプラスチック)に吸着されて生物濃縮(食物連鎖を経て、連鎖の順番では後に位置する高次消費者の生物ほど毒が濃くなり、私たちの口に入る時にはかなりの濃度になること)され、他ならぬ私たちを苦しめる結果となっている。
クジラの体内から見つかったマイクロプラスチック。